家を買う時、多くの人が思うこと
「一生ここに住む」
そう思って家を買う方は、きっと多いと思います。
もちろん、家を持つことには大きな安心感があります。
自分たちの暮らしの拠点ができること。
家族の思い出が積み重なっていくこと。
それは、とても価値のあることだと思います。
私たちも、持ち家そのものを否定したいわけではありません。
ただ、不動産のご相談を日々受けている立場として、
家を買う前に一度だけ考えておいてほしいことがあります。
それは、
「この先、自分の人生が変わることもある」
という前提です。
人生は、思っている以上に変わっていく
家を買う時点では、
「この場所でずっと暮らしていこう」
と思っていたとしても、人生はその後も続いていきます。
結婚。
離婚。
出産。
子どもの進学。
親の介護。
転職。
独立。
FIRE。
健康状態の変化。
家族との距離感の変化。
こうした変化は、誰にでも起こり得ます。
そして、その変化によって、
「今の家が合わなくなる」
ということもあります。
家が悪いわけではありません。
買った判断が間違っていたわけでもありません。
ただ、その時の自分に合っていた住まいが、
10年後、20年後の自分にも合っているとは限らない。
これは、とても自然なことだと思います。
「売りたくて売る」だけではなく、「売らなければならない」こともある
不動産の現場では、
住まいを手放す理由は本当にさまざまです。
より良い暮らしを求めて、別の場所に住み替えたい。
子どもの学校や通勤の都合で、住む場所を変えたい。
家族構成が変わり、家の広さや間取りが合わなくなった。
親の介護のため、実家の近くに移る必要が出てきた。
住宅ローンの負担が重くなり、売却を考えざるを得なくなった。
前向きな住み替えもあれば、
事情があって手放さなければならないケースもあります。
つまり、家は「売ることになる可能性もあるもの」
として考えておく必要があるだと思います。
売りたい時に、すぐ売れるとは限らない
私たちは、不動産のご相談を受ける中で、
「売りたい時に、すぐ売れるとは限らない」
という現実を何度も見てきました。
買い手がなかなか見つからない。
思っていたよりも価格が下がってしまう。
一度は話が進みそうになったのに、直前で白紙になる。
売却活動が長引き、次の生活設計が立てにくくなる。
売却を進めているご本人にとって、これは本当に大きな負担です。
「やっと決まりそうだ」と思って、次の準備を始める。
けれど、また振り出しに戻ってしまう。
その繰り返しの中で、気持ちが少しずつ削られていく。
これは、決して珍しい話ではありません。
売りたくても、ローンの関係で簡単に売れないことがある
さらに、住宅ローンが残っている場合には、
「売却できるかどうか」は価格だけの問題ではなくなります。
たとえば、住宅ローンの残債が2,500万円ある家を、
2,000万円で売却することになったとします。
この場合、売却代金だけではローンを完済できません。
差額の500万円を、原則として手元資金などで補う必要があります。
つまり、売りたいと思っても、
売却価格よりローン残債の方が大きければ、
売るためにお金が必要になる
ことがあります。
手元資金がなければ、
売りたくても売れない。
動きたくても動けない。
そういう状況が、実際に起こり得ます。
もちろん、すべての方がそうなるわけではありません。
ただ、家を買う時には、
「将来、売ることになる可能性がある」
そして、
「その時にローン残債が足かせになることがある」
という現実は、知っておいて損はないと思います。
大切なのは、「売る時のこと」よりも「動ける余地」
家を買う時に、将来いくらで売れるかを正確に読むことはできません。
将来の不動産市況も、金利も、家族の状況も、仕事の状況も、
その時になってみなければ分からないことがたくさんあります。
だからこそ、
「売る時のことを細かく考えましょう」
という話ではありません。
むしろ大切なのは、
人生が変わった時に、自分が動ける余地を残しておくこと
だと思っています。
住宅ローンの返済に無理はないか。
この場所に固定されることで、仕事や家族の選択肢が狭くなりすぎないか。
将来、住み替えたいと思った時に、身動きが取れる状態でいられるか。
家を所有することで、暮らしの自由度を失いすぎていないか。
こうした視点を持っておくことが、とても大切です。
賃貸には、「動きやすさ」という価値がある
その点で、賃貸には大きな特徴があります。
それは、
動きやすいこと
です。
もちろん、賃貸にも費用はかかります。
家賃を払い続ける必要がありますし、引っ越し費用もかかります。
自分の資産として残るわけではない、という考え方もあります。
それでも、住む場所を変えたいと思った時に動きやすい。
家族や仕事の状況に合わせて、暮らし方を変えやすい。
今よりQOLを上げるために、別の場所を選びやすい。
これは、賃貸の大きな価値だと思います。
「子どもが小さい間は、この学区に住みたい」
「通勤時間を減らして、家族との時間を増やしたい」
「仕事が変わったから、住む場所も変えたい」
「将来は地方や海外も含めて、暮らし方を見直したい」
そう思った時に、動ける。
この価値は、
動けなくなって初めて気づくものなのかもしれません。
持ち家か賃貸かではなく、暮らしに合っているか
持ち家が正解。
賃貸が正解。
そういう話ではないと思っています。
大切なのは、
その人の今の暮らしと、これからの人生に合っているかどうかです。
長くその地域に住み続けたい。
家族の拠点をつくりたい。
自分たちの家を自由につくりたい。
そう思えるなら、持ち家はとても良い選択だと思います。
一方で、
仕事や家族の変化に合わせて柔軟に動きたい。
暮らしの自由度を優先したい。
そう思うなら、賃貸という選択も十分に合理的です。
「家賃がもったいないから買う」
というだけではなく、
「自分たちは、どれくらい動ける状態でいたいのか」
を考えてみる。
それだけで、住まいの選び方は少し変わると思います。
不動産の現場で感じていること
つむぐむらいふ株式会社は、空き家や相続、不動産売却のご相談と日々向き合っています。
売りたくてもすぐには売れない家。
相続したものの、管理に困っている家。
住まなくなったあと、どうすればよいか悩まれている家。
家族の事情が変わり、手放すことを考えなければならなくなった家。
そうしたご相談を受ける中で、
住まいは「買って終わり」ではないと強く感じます。
人生が変われば、
住まいに求めるものも変わります。
だからこそ、家を買う時には、
「この家に一生住むかどうか」だけでなく、
もし人生が変わった時、自分は動けるのか
という視点も持っておいてほしいのです。
「動ける暮らし」を、選択肢として持っておく
知っておくことで、備えられることがあります。
家を買うこと。
賃貸で暮らすこと。
今の家をどうするか考えること。
どれか一つが正解なのではなく、
その時々の暮らしに合わせて選べることが大切だと思います。
これからの人生で、何が起こるかは分かりません。
だからこそ、
住まいを考える時には、
「所有する安心」だけでなく、
「動ける自由」も一緒に考えてみてください。
賃貸という選択肢も、悪くありません。
つむぐむらいふは、
家と人生のこれからを、一緒に考える会社でありたいと思っています。
