〜終わりじゃなく、これからを生きるために書くノート〜
「終活」という言葉が、ずっと好きではなかったです。
「終活」「エンディングノート」
その言葉を聞くたびに、胸の奥がざらつく感覚がありました。
人生の最後の準備。死に向かって整理していくため。そういう響きが、どうしても自分のイメージと噛み合わない。
私は宅建士であり、終活カウンセラー1級でもある。仕事柄、ご高齢のお客様から「もしものとき」の話を伺う機会は多い。けれど、机の上に置かれた市販のエンディングノートを開いて、ペンが止まったままになっているお客様を、何人も見てきました。
「最後のために書く」と思うと、ペンは止まる
そう感じている人は、思っているより多いようです。
だから、もう「終活」とも「エンディングノート」とも違う名前を、自分の手元から渡したいと思って来ました。
長く温めてきた想いが、ようやくひとつの形になりかけています。
その名前が、「さいごのラブレターのーと」
ひらがな表記で商標登録を取得しました。中身も届け方も、まだ完成していません。だからこの記事は、完成品のお披露目ではなく、これから一緒に育ててくれる人へのお声がけでもあります。
■ このノートは、終わりに向けて書くものではない
けれど、『人生の終わりを見つめた時に見えてくる景色がある』
伝えたいことは、ここに尽きる。
今までの人生を振り返って、これからを充実して生きるために書くノート
それが「さいごのラブレターのーと」
過去を整理するのが目的ではありません。
「あのときの選択は、悪くなかったな」
「あの人に出会えたから、いまの自分がある」
そう書き出していくと、不思議と顔が上がってくる。これからどう生きたいか、誰に何を伝えたいかが、薄ぼんやりと見えてくると思います。
書くことは、終わりではなく、助走です。
■ 大切な人へ、そして自分自身へ
ラブレターというと、誰かに宛てるイメージが強いかもしれません。
このノートは、もちろん大切な人に宛てて書いていい。けれど、それ以上に自分自身に宛てて書いてほしいと思っています。
子どもに、ありがとう。
パートナーに、ごめんなさいと、それでも一緒にいてくれてうれしい。
親に、いまだから言える感謝。
そして、自分自身に。ここまでよく頑張ってきたね、と
口にすると気恥ずかしい言葉も、紙の上ならそっと置ける。書きながら涙がこぼれる人もいる。書き終えて、しばらく便箋を眺めて笑う人もいる。
これは手紙のかたちを借りた、自分の心と向き合う時間です。
■ 書くことが、明日の行動を呼び起こす
このノートで一番伝えたいのは、ここです。
書いた人は、動き出す。
「もう一度、あの人に会いに行こう」と電話を取る。
「言いそびれていた『ありがとう』を、今夜伝えてみよう」とつぶやく。
「ずっと放っていた夢を、今年こそ始めよう」と手帳をめくる。
「もう少し、自分を大事にしよう」と決める。
過去を振り返るからこそ、これからやりたいことが浮かび上がるのです。
大切な人への想いを言葉にするからこそ、その人にもう一度会いたくなるのです。
自分への手紙を書くからこそ、自分の人生をもう少し丁寧に扱いたくなるのです。
「さいごのラブレターのーと」は、人生を閉じるノートではありません。
人生を、もう一度ひらくためのノートです。
■ 若いうちから書いてほしい、たった一つの理由
エンディングノートはご高齢の方が書くもの。そう思われがちです。
でも私は、もっと若い人にも、できれば元気なうちから書いてみてほしいと思っています。
きっかけになった出来事があります。
ずいぶん前に読んだ新聞記事に、こんな話がありました。
50代の商社マンが突然亡くなり、遺された手帳に、書きかけのメモが残されていたという。
「家族に、幸せな人生だったと感謝している」
書きかけ、の三文字に胸が詰まった。
走り書きの一行が見つかったご家族の気持ちを、私は勝手に想像しました。
悲しみが消えるわけではない。
それでも、その一行があるとないとでは、これから先の長い時間の歩き方が、まるで違うはずだと。
突然のお別れは、誰にでも訪れる。若い世代にも、働き盛りの世代にも。
書いた言葉は、未来のあなた自身へのギフトになる。そして、もしものときには、大切な人を支えるラブレターになる。
そのどちらにもなれる。だから、元気なうちに書いてほしいと願うのです。
■ これから、一緒に形にしていきます
「さいごのラブレターのーと」は、まだ完成された商品でありません。
中身も、デザインも、一緒に書く場づくりも、これから少しずつ整えていく段階です。
一冊にぎっしり綴じられたノートではなく、ページごとに差し替えできるルーズリーフ式にしようと考えています。書いてはやめ、書き換え、書き足していけるかたちが、いまの暮らしには合っている気がするからです。
ひとりで完成させるつもりはありません。書いてくれる人、一緒に書く場を作ってくれる人と、対話しながら育てていきたいと思っています。
もしこの想いに、少しでも引っかかりを感じてくれたなら、ぜひ声をかけてください。
■ 最後に
伝えたいのは、シンプルなことです。
過去を振り返り、大切な人と自分自身に想いを綴り、これからの一歩を踏み出すために書く。
人生の終わりに向けてではなく、これからの人生を、もう少し自分らしく生きるために。
そっと、ペンを取ってみて下さい。
最初の一行は、誰に宛てよう?
