MRIの中で、人生の終わりを考えた|後悔を減らすために、今からできること

首のMRIを撮るために、検査台に横になりました。

前から、自分は閉所恐怖症だと分かっていました。
それでも、「これくらいなら大丈夫」。
そう思って、検査を受けることにしたのです。

身体が、少しずつ機械の中へ入っていきます。
目の前の空間が、急に狭くなりました。
その瞬間、ものすごい恐怖が襲ってきました。

「大丈夫」と思っていたはずなのに。
気づけば、パニックになりそうでした。

「ここから出たい」
そう思うほど、胸が苦しくなります。
身体を動かしてはいけない。
そのことにも、耐えられなくなりそうでした。

その時、ふと頭に浮かんだのです。
「棺桶の中に入った時は、どんな気持ちなのだろう」と。

もちろん、その時にはもう意識がなくて、狭いとも暗いとも感じないのかもしれません。
でも、もし突然、自分の人生の終わりが近づいていると分かったら。
私は、何を考えるのでしょう。
自分の人生を、どんなふうに思い返すのでしょう。

「あれをやっておけばよかった」
「あの人に、伝えておけばよかった」

そんな後悔が、次々に浮かんでくるのでしょうか。

狭いMRIの中で、私はそんなことを考えていました。

「死ぬまでにやりたいこと」が、すぐに出てこない

後悔しないために、やっておきたいことを考えてみよう。
そう思っても、いざ書こうとすると、手が止まります。

行ってみたい場所。
食べてみたいもの。
挑戦してみたいこと。

「やりたいことリスト」を作ろうとすると、
何か大きな夢を探さなければいけないような気がして、
かえって言葉が出てこないのです。

でも、後悔を減らすために考えたいことは、
もっと身近なところにあるのかもしれません。

まずは「気になっていること」から書いてみる

「やりたいこと」が浮かばない時は、
「ずっと気になっていること」から考えてみる。

いつか連絡しようと思っている人。
謝りたいのに、まだ謝れていないこと。
本当は感謝しているのに、まだ伝えていないこと。
やってみたいと思いながら、「私には無理」と諦めていること。
片付けたいと思いながら、そのままになっている家のこと。

心のどこかに、引っかかっていること。
そこには、自分が本当に大切にしたいものが、隠れているように思います。

5つに分けると、少し考えやすくなる

私は、5つに分けて書いてみようと思います。

1.伝えておきたいこと

「ありがとう」
「ごめんなさい」
「あの時、うれしかった」
「本当は、こう思っていた」

いつでも言えると思っている言葉ほど、
なかなか言えないものです。

まずは、誰に、どんな言葉を伝えたいのか。
それを書いてみます。

2.会いたい人

長い間、会っていない友人。
お世話になった人。
もう一度、ゆっくり話をしたい家族。

会えるかどうかは、別として。
顔が浮かぶ人の名前を書くだけでも、
自分が大切にしてきたご縁が、見えてきます。

3.やってみたいこと

遠くへ旅行するような、大きなことでなくてもいい。

気になっていたお店へ行く。
昔好きだったことを、もう一度やってみる。
見たことのない景色を、見に行く。
一人で、ゆっくり過ごす日をつくる。

「いつか」ではなく、
少し頑張ればできそうなことから、書いてみます。

4.整えておきたいこと

家のこと。
物のこと。
お金や、大切な書類のこと。
自分にしか分からない、契約やパスワードのこと。

私は仕事柄、
持ち主のいなくなった家や、
残されたご家族と向き合う場面があります。

「元気なうちに、少しだけ整えておけたら」
そう思うことが、何度もありました。

残された人が、困らないようにしておくこと。
それも、後悔を減らすための、大切な準備だと思います。

すべてを、今すぐ片付ける必要はありません。
まずは「何が気になっているのか」を知ることから。

5.手放したいこと

やりたいことだけではなく、
「もう、やらなくてもいいこと」も、考えてみたい。

誰かの期待に応えるために、続けていること。
嫌われないために、我慢していること。
失敗した自分を、責め続けること。

人生に加えたいものだけでなく、
手放したいものを考える。

そうすると、残された時間を、
もう少し自分らしく使えるのかもしれません。

今日、答えを出さなくてもいい

こうして考え始めると、
かえって不安になったり、書く手が止まったりすることもあると思います。

だから、最初から立派なリストを完成させなくてもいい。

今日、思いついたことを、一つだけ書く。
後から違うと思ったら、書き直す。
やってみて満足したら、線を引く。
そして、また新しく思いついたことを、書き足す。

これは「死ぬ準備」というより、
「これから、どう生きたいかを考えるためのメモ」
なのかもしれません。

MRIの中で浮かんだ問い

あの時、MRIの中で感じた恐怖は、
できれば、もう味わいたくありません。

でも、その恐怖の中で浮かんだ問いは、
忘れずにいたいと思いました。

もし、人生の終わりが、突然訪れるとしたら。

私は、何を後悔するのだろう。
誰の顔を、思い浮かべるのだろう。
そして、本当はどんなふうに生きたかったと、思うのだろう。

今はまだ、その答えは分かりません。
でも、分からないからこそ、一つずつ考えてみたい。

まずは今日。
「ずっと気になっていること」を、一つ。
書き出すところから。

皆さんは、人生の終わりまでに、
どんなことを大切にしておきたいですか。